同友館発行の「企業診断ニュース」内で不定期連載中の「診断士の書評」」コーナー。2013年6月号は、「TOKYO キラリと光る商店街 ~専門家が診るまちづくり成功のポイント~」を担当いたしました。
TOKYO キラリと光る商店街 ~専門家が診るまちづくり成功のポイント~」(一社)東京都中小企業診断士協会 商店街研究会 編著 同友館
古くは楽市・楽座に始まる「商店街」の歴史も、近年は苦境に立たされ、リーマン・ショック後には年間400もの商店街が消滅した、という話もある。本書はそうした厳しい状況に置かれた商店街の将来に危機感を抱く著者が、これまでに蓄積した商店街活性化の成功ポイントをまとめた事例集である。
都内25商店街それぞれに、その歴史から改善に至るまでの経緯、そして成功のポイントが記述され、商店街活性化に取り組む方には応用できるアイデアが満載である。また全商店街の地図が掲載され、土地勘の無い者にもわかりやすい配慮がなされている。
成功事例に共通するのは、活性化のキーは商店街リーダーにある、ということである。それは場合によっては組合の理事長であり、あるいは個店のオーナーであり、また地元を強く愛する者である。どんなに秀でたアイデアも、組織化された商店街コミュニティとしての推進が求められる。その組織を強く牽引するリーダーが必要となるのである。
私は本書の読後、地元の商店街を散歩してきた。そしてシャッターの下りた店舗が立ち並ぶ商店街で可能な取り組みを考えてみた。応用できそうな事例は多々あるが、では推進するリーダーは誰に?という疑問が残る。熱いハートを持ったリーダーとそれを支える人々の集まり。どうやってリーダーを見つけ、育てていくのか。あるいは本書を手にした私達に、愛すべき地元のリーダーを担ってくれと訴えたかったのかもしれない。
「企業診断ニュース」2013年6月号
http://www.doyukan.co.jp/store/item_2013060.html