TRYOUT|企業支援・地域活性化・コンサルティング|北海道札幌市

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長野バス事故にみる価格競争の悲劇と、高付加価値シフトへのポイント

軽井沢で、格安スキーツアーのバスが転落するという、痛ましい事故が起きた。
原因はまだ調査中だが、こうした事故が起きるたび、価格競争の中で、過重労働とギリギリの体制で運営されていることが取り上げられる。

そして業界構造の問題点が指摘され、それが規制強化につながる。
その規制強化に対応できる体制と資本を持った企業だけが、生き残っていけるわけだ。

小さな会社は価格競争では大手企業に絶対かなわない。
中小企業がとるべき作戦は、付加価値をつけ、いち早く価格競争から抜け出すことしかない。

サービスの要求水準は高まるばかり

お客さんは、ワガママ。
「目的地に移動する手段として」バスを使う限り「もっと安く、早く、もっと安全に」が求められる。
そうした中、一番大切にすべき「安全性」が二の次にされ、

「もっと安全に」<「もっと安く・早く」

が追求された結果、今回のような事故につながったのだろう。

付加価値をつけるとは

価格競争から抜け出すには、付加価値をつけること。よく耳にする内容だ。
しかしどうやってそれを実現するか?バスを例にとると、経済産業省のサイト内に、ヒントとなる資料があった。

バス車両の開発促進等に関する戦略会議報告書
「バスのリデザイン」平成26年3月
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004156.pdf

この報告書に掲載されている事例では、大きく2つの高付加価値の方向性を示している。

①ハード面

方向性のひとつがハード面。以下、報告書を一部抜粋する。

その中心的施策が、乗り心地を追求したシートやカラフルなシートの独自開発である。
車両の開発に当たっては、「現在バスに乗っていない人にどうしたら乗ってもらえるか」を考えたという。車両ごとに 20 代女性、ファミリー層、40 代ビジネスマン等細かくターゲットを定め、そうした特定の層の潜在的なニーズを汲み取った車両となっている。

ハード面の事例がもうひとつ。

 このバスは「お客さまに最高の眠りと上質なリラクゼーションをお届けすること」をメインコンセプトに開発されており、夜間に長距離を移動するストレスを和らげ、乗客が快適な睡眠をとれるよう工夫されている。

②ソフト面

そして、もうひとつの方向性がソフト面。こちらも事例を掲載。

バスに乗車している時間を、単なる移動ではなくエンターテイメントの場と捉え、様々な取り組みを行ってきた。つんく♂氏作詞作曲による社歌の制作や、お笑い芸人とのコラボレーション企画等を実施している。今後はインバウンドの富裕層向けの車両開発や一層のエンターテイメント性を備えたツアー開発を行っていく予定である。

事例に共通して言えること

この3つの事例に共通して言えることは、

①バスを単なる「目的地に移動する手段」という枠組みで捉えず、「快適な滞在をしてもらうための空間」として、お客様に提供する価値を変えていること。
②そのためにお客様の声を集め、知恵を働かせサービスを開発していること。

また同報告書では、今後のサービスの方向性とそのロードマップが示されている。

ここでも、単なる移動手段から、「車両とサービスが融合した新市場が創生される」ことが示されている。
ハード面で付加価値を高める取り組みは、資金が必要となることもあるだろう。ただ、ソフト面での付加価値は、場合によっては費用をかけず、知恵ひとつで新たなサービスが生まれることも考えられる。

価格競争に耐え続けられるのは、大企業だ。
価格競争から抜け出すということは、自社にしか提供できないおもてなし・サービスを付加すること。
知恵を働かせ、いち早く価格競争から抜け出すと、今回の事故のような悲劇も防げたのではないか、と考える。

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著者

株式会社TRYOUT代表取締役中村 領/Ryo Nakamura
77年・札幌市生まれ。
SIer・広告ベンチャーなど民間企業勤務を経て、13年よりTRYOUTを設立・代表/中小企業診断士。
14年から中小企業庁の支援事業においてコーディネーターに就任。3年間の企業支援件数は1,000件を超える。企業とともに伴走する支援家として、地域中小企業のチャレンジを応援している。

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