TRYOUT|企業支援・地域活性化・コンサルティング|北海道札幌市

企業支援・地域活性化・コンサルティング|北海道札幌市

事業承継という戯れ言

舌禍がん、胃がん、食道がんと3つの大病を患うたびに生還してきた僕の父であるが、つい先日リンパ節への転移が見つかった。
これ以上手術はできず、治療は次の段階へと移行された。

父の実家は地方中核都市のはずれにあり、5年ほど前に父の両親、つまり僕の祖父母がサービス施設へ入所したことをきっかけに、空き家の状態であった。祖父は3年ほど前に亡くなり、その後空き家物件の処分について父に幾度も打診したものの、「祖母が生きているうちはまだ」と乗り気にはならなかった。おそらく、後ろ向きな判断はなるべく後回しにしたかったのだろう。

今回のリンパ節転移をきっかけに、父の重い腰が少しずつ動きはじめたところである。


地域では、事業承継が進んでいない。経営者のピークは66歳を超え、重要な政策課題として国も様々な施策に力を入れている。
しかし現場の感覚からすると、相談の場に経営者と後継者の双方が揃うことはなく、当事者不在で遅々としてすすまない。経営者の承継に対する意識も乏しい。

会社とは、経営者(創業者)にとって、その人の生命力の表現を体現化した器だと思っている。それがそのままあり続けることは、経営者にとって大きな活力源なのである。僕の父にとって、いつまでも実家の空き家がそのままあってほしいように。

その生命力の表現である器を、どのようにあつかい整理することが、個々にとってふさわしい解決なのか。どのような言葉を投げかけたらよいのか。

この視点から、いまのさまざまな施策をみると、安易な事業承継などという言葉は戯れ言にしか聞こえず、きっと遅々として進まない現状は大きく変わらない。そして、それでもいいのかもしれない、と40歳になったばかりの若造である僕は思っている。

著者

株式会社TRYOUT代表取締役中村 領/Ryo Nakamura
77年・札幌市生まれ。
SIer・広告ベンチャーなど民間企業勤務を経て、13年よりTRYOUTを設立・代表/中小企業診断士。
14年から中小企業庁の支援事業においてコーディネーターに就任。3年間の企業支援件数は1,000件を超える。企業とともに伴走する支援家として、地域中小企業のチャレンジを応援している。

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